ロキノンもきた
平手友梨奈がフラッグの群れを割ってステージのど真ん中に登場してきた瞬間。
この瞬間の、コンサートの始まりの一瞬で勝負は決まったーーそんな圧倒されるような時間だった。
とんでもない求心力を持って始まるこの一瞬のカタルシスは、今、欅坂46のライブに特有のものであると感じる。
「見せるべきもの」と「やるべきこと」が重なり、また僕らの心中でも「今見たいもの」と「受け取るべきもの」がぴったりと重なる瞬間。
確固たる世界観を持った素晴らしいアーティストもアイドルもたくさんいるが、デビューから一年強というスピードでこの世界観を完成させている存在はどう考えても稀有であると思う。
それはやはり、平手友梨奈のあの存在感なくしてなし得なかったものだと思うが、彼女を中心に据えたシンメトリーの美しさと強さに賭けるように懸命に前を向くひとりひとりの在り方もまた感動的だった。
それにしても、盛大な噴水演出による水で濡らした前髪の向こうでまっすぐな視線を放ち続ける平手の確信はどこからきているんだろう。