2025/03/18(火) 19:57:07 FvypIWa6D8 [iPhone]
かにが街の片隅で見つけた書道教室に入ったのは、ただの暇つぶしのつもりだった。教室には先生が一人、何も言わずに座っているだけだ。かにが「なんか面白そうだな」と言いながら、筆を手に取ると、先生が無言で彼に向かって座るように指示した。
「今日は好きなことを書け」と言われ、かにが「じゃあ、自分の名前でも書こうかな」と筆を走らせる。その瞬間、先生が一瞬で立ち上がり、カッと目を見開くと、ものすごい速さで筆を取り、かにの顔に一文字を描いた。
「アホ」
その文字はまるで墨が暴れたように、かにの額にくっきりと浮かび上がっていた。かには驚き、「おい、なんで俺の顔にアホって書いたんだ!」と叫ぶが、先生は無言で「これが書道だ」とだけつぶやく。
奈々様は何も言わずに微笑み、キスイが「顔面アートだな」と呟く。かにはしばらく呆然としていたが、気づくとその文字が、まるで彼の顔の一部のように馴染んでしまっていた。