かにが当たった宝くじを見せて、「これ、1億円だ！すごくない？」と興奮気味に叫ぶ。キスイは無表情でそれを見つめると、突然「ちょっと待て、シュレッダーが必要だ」と言って近くにあったシュレッダーに手を伸ばす。

「いや、待ってくれ！これは俺の人生が変わる金額なんだぞ！」かには必死に宝くじを握りしめるが、キスイは無言でシュレッダーのスイッチを押す。

「お願い、やめてくれ！」かにが叫ぶも、キスイは宝くじをシュレッダーに投入し、音を立てて細かく裁断していく。しばらくして、完全に紙は細かくなり、無残にシュレッダーから出てくる。

かには絶望的な表情で立ち尽くす。「おい、なぜこんなことを！？」

キスイは肩をすくめて、「運ってのは、ただ持ってるだけじゃ意味ないんだよ。大切なのは、どう使うかだ」と呟く。

かには言葉が出ず、しばらく静まり返った。キスイはニヤリと笑って、「心配すんな。幸せは金だけじゃない」とだけ言い残して、その場を後にした。