昼休み、キスイは課長の席へ向かった。手には一枚の紙。

「課長、誕生日ですよね？お祝いに、似顔絵描いてきました！」

課長は驚きつつも微笑んで受け取る。

「おっ、気が利くじゃないか。どれどれ……」

紙を広げた瞬間、課長の表情が凍りつく。そこには、茶色いクレヨンで描かれたウンコが。

「……は？」

「たんおめ！」

キスイは深々とお辞儀し、勢いよく会社の入り口へ走り出す。

「おい！！待てコラ！！！」

課長が怒鳴るが、キスイは止まらない。

エレベーターの退職届投入口（とキスイが勝手に呼んでいるスキマ）に、事前に準備していた退職届をねじ込みながら叫ぶ。

「今日から俺は自由だ！！」

そして、そのままオフィスビルから二度と戻らなかった。