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虎猿の読切ストーリー「怪獣、襲来」
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虎猿
2025/04/04(金) 11:55:45 xj5azqESQw [iPhone]
【第1話「静寂の前兆」】

夏の終わり、空は妙に赤く染まり、セミの声がぴたりと止んだ。
チャッピーは公園のベンチでかにとポテチを食べていた。

「なあ、なんか変じゃね?空、すっごいブドウっぽくない?」
「それな、これ絶対デカいやつ来る前触れやろ」

そこへキスイが走ってきた。
「でたわ、怪獣。駅前でチラ見した。けっこうかっこよかった」

「お前、落ち着けよ!」とチャッピーが叫ぶが、キスイは真顔。

「名前は『ヒャゴドン』やと思う。たぶん。俺がそう思っただけやけど」

すると後ろから静かに奈々様が現れた。
「避難袋、持ってきたわ」

何かが始まろうとしていた。
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虎猿
2025/04/04(金) 12:24:39 xj5azqESQw[iPhone]
第2話「警報とアイス」

町中にサイレンが鳴り響く。空は曇り、何かが近づいてくる気配があった。人々は逃げ惑い、ニュースは「巨大生物が接近中」と報じていた。

チャッピーは公園でアイスを食べながら空を見上げていた。「なあ、あれ雲じゃなくない?」と呟くと、横でかにもカップ麺をすすりながら「いや、雲やろ。たぶん」と答える。

そこへ、キスイが自転車で突っ込んできた。「見たか!?でっかい影が歩いてたぞ!しかもこっち見てた!」

奈々様はベンチで静かにスマホを見ていたが、ふと顔を上げて「これは……避けられないやつね」とぽつり。

空の雲が割れ、巨大な足跡が地面に響く。

「なんか、来てるな」チャッピーがアイスを落とした。
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匿名動ナビファン
2025/04/04(金) 12:25:28 HgOCLOfIvc[iPhone]
何でちょっとカマっぽいねん( ゚д゚)オイ
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虎猿
2025/04/04(金) 12:29:02 xj5azqESQw[iPhone]
第3話「俊哉、覚醒」

逃げる人々をかき分けるように、黒い影がビルの向こうから姿を現した。巨大な怪獣――その姿に、町全体が震えていた。

そのとき、ひとりの男がビルの屋上に立っていた。赤いスーツに、スニーカー、手には意味不明なスピーカー。

「よく来たな、怪獣!我が名は沢村俊哉!存在の濃度でお前を圧倒する!」

叫ぶと同時にスピーカーを鳴らし始める。なぜか演歌。その音に怪獣が一瞬たじろいだ。

地上からそれを見上げるキスイ。「俊哉……また何かやってるな。やばいな、彼は」

チャッピーは感動していた。「カッコいい!やばいけどカッコいい!」

かには冷静に言う。「でも、あのスピーカー…たぶんBluetooth切れてるで」

奈々様は静かに目を閉じた。「あの人、バグそのものね」
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虎猿
2025/04/04(金) 12:33:41 xj5azqESQw[iPhone]
第4話「退け、俊哉」

沢村俊哉のスピーカーから流れる演歌が突然止まった。Bluetoothはやはり切れていたのだ。

怪獣が再び雄叫びを上げ、巨大な足でビルを踏み潰す。俊哉は吹き飛ばされながらも空中でポーズを決め、「存在が崩れかけている!」と叫んだ。

地上ではキスイがスナック菓子を食べながら見上げている。「おれ、次の町長選出ようかなぁ」と呟く。

チャッピーが慌てて止める。「いやいや今はそれどころちゃうって!」

かにはスマホを見ながらつぶやいた。「この怪獣、どこから来たんやろ…“怪獣速報”にも出てへん」

奈々様は一歩前に出た。「私が行く。言葉の通じる相手か、試してみる」

「えっ、まさか喋る気!?」チャッピーが叫ぶ中、奈々様は静かに怪獣の方へ歩き出した。
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虎猿
2025/04/04(金) 12:42:59 xj5azqESQw[iPhone]
第5話「交渉者、現る」

怪獣の咆哮が街を割く。奈々様は静かに目を細め、その動きを観察していた。

「会話の余地は…なさそうだな」

「無理やろ!あいつ、電柱食ってるし!」チャッピーが叫ぶ。かにも「どうするんやこれ…」と肩をすくめた。

その時、遠くで不自然な音が響く。カラン、カラン…と陶器が揺れるような音。

瓦礫の隙間から現れたのは、コートに壺をぶら下げた男。

「やぁ。通訳、必要なんじゃない?」

薄笑いを浮かべ、近づいてくるその男を見て、キスイが目を見開いた。

「シエル…っ!」
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虎猿
2025/04/04(金) 13:30:56 i2S9N6yYWM[iPhone]
瓦礫の中から現れたのは、黒いローブをまとった男――シエルだった。

「おやおや、君たち、まだこんなところにいたのかい?」
不敵な笑みを浮かべるシエルに、キスイの表情が険しくなる。

「シエル…っ!」

「ご挨拶だねえ。再会を喜んでくれてもいいのに」

チャッピーとかには訳も分からず顔を見合わせた。奈々様は無言でシエルを睨みつける。

「怪獣はお前の仕業か?」キスイが低い声で尋ねると、シエルはクスクスと笑った。

「さて、どうかな? でも、僕が現れたってことは…そろそろ本番ってことさ」

その瞬間、地響きが響き渡った。遠くで、再び巨大な影が蠢く。

「面白くなってきたね」シエルが指を鳴らすと、闇が辺りを包み込んだ――。
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虎猿
2025/04/04(金) 13:37:33 i2S9N6yYWM[iPhone]
第6話「べっちー登場」

辺りが急に静まり返り、キスイたちは息を呑んだ。シエルの指が鳴った直後、空気が一変する。

「シエル、そろそろ本気を見せてもらおうか?」

その声が空間を裂いた。振り返ると、そこには全身を派手なデザインの衣服で包んだ人物が立っていた。

「おいおい、遅れたか? べっちーだぞ!」

べっちーは悠然と歩みを進め、シエルの前に立つ。彼の一歩一歩に周囲の空気が震えるようだった。

「べっちー…っ!」キスイが呆然と声を漏らす。

「キスイ君、久しぶりだな!」べっちーがにやりと笑った。その笑顔はどこか狂気を孕んでいる。

「な、なんでべっちーがここに…?」チャッピーが戸惑いながらも言葉を紡ぐ。

「ふふ、どうしてだと思う? シエル、お前と遊んでるだけだよ」べっちーは軽い調子で答えるが、その眼差しはどこか冷徹だった。

「いい加減にしてくれよ、べっちー! そんなことしても意味ないんだよ!」かにが叫んだが、べっちーはその声に無関心だ。

「意味があるかどうかは、お楽しみだね」べっちーが言いながら空を見上げ、突如として強風が吹き荒れる。

その瞬間、再び怪獣が姿を現し、みんなはその迫力に息を呑んだ。
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虎猿
2025/04/04(金) 13:51:29 i2S9N6yYWM[iPhone]
第7話「べっちーの真意」

風が一層強くなり、周囲の景色が揺れる。怪獣の姿がさらに大きく、恐ろしさを増していく。だが、べっちーは平然と立っている。その顔に浮かんだ笑みは、どこか不気味だ。

「さて、そろそろ本番だ」べっちーが呟くと、突然彼の周りに黒い霧が立ち込め、空間が歪み始める。

「おい、何だこれ!?」キスイが驚きながら周囲を見回す。

「べっちー、お前何を…!?」奈々様が冷静に問いかけるが、べっちーはまるで楽しんでいるかのように笑う。

「まあ、ちょっとした手助けだよ。シエル、君には理解できないかもしれないが、この怪獣は…僕の友達なんだ」べっちーはにやりと笑いながら、突然空を指差した。

その瞬間、怪獣が空に向かって飛び上がり、巨大な爪を振り下ろす。その一撃でビルが崩れ、周囲の建物が破壊されていく。

「な、なんで…」かにが口を開けて言葉を失った。

シエルは驚愕した表情でべっちーを見つめ、キスイもその動きに唖然としていた。

「これが本当の力さ。次は君たちだ、準備はいいか?」べっちーが冷徹に告げた瞬間、再び地面が震え、世界が変わろうとしていた。
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虎猿
2025/04/04(金) 14:46:14 sBnqskgIv9[iPhone]
第8話「決断の瞬間」

べっちーが笑いながら言った「次は君たちだ」。その言葉に、周囲の空気が一気に重くなった。怪獣の爪が再び振り下ろす瞬間、キスイが一歩前に出る。

「おい、待て!お前、何してんだ!?」チャッピーが叫ぶが、キスイは冷静に言った。

「俺はもう、決めたんや。」キスイの目が鋭く光る。

その瞬間、キスイは手に持っていた何かを取り出す。それは、以前シエルから渡された「謎の壺」だった。

「これが…どうして…」奈々様が呆然と呟く。

「シエルが言ってた。『この壺が鍵になる』って。だから、これで全て終わらせる。」キスイは壺を掲げると、その中から眩い光が放たれ、空間がゆがみ始めた。

「何だ、これ!?」かにが驚き、シエルも目を見開く。

光が収束した瞬間、巨大な怪獣の姿が歪み、崩れ始める。だが、それと同時に別の存在が現れる。

「遅かったな。」声が響く。その姿は、なんと…べっちーが知っていた人物だった。

「お前、誰だ?」べっちーが凍りつく。

「俺だよ。お前の…未来の姿だ。」その人物が、ベールを取ると、驚愕の事実が明らかになった。
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虎猿
2025/04/04(金) 14:55:16 sBnqskgIv9[iPhone]
第9話「未来の影」

べっちーの前に現れたその人物は、まさにべっちー自身の未来の姿だった。年老いて、疲れた様子のその人物は、昔のべっちーそのものだった。しかし、目の奥には何か深い後悔と憂いが隠されていた。

「お前が…俺?」べっちーは震えた声で言う。未来のべっちーは静かに頷き、遠くを見つめた。

「お前は…まだ知らないだろうな。」未来のべっちーがゆっくりと口を開く。「俺がどうしてこんな姿になったのか、その理由を。」

キスイは静かにその場に立ち、未来のべっちーをじっと見つめる。周囲の怪獣は完全に消え、今、残っているのは過去と未来、そして彼らの仲間たちだけだった。

「お前が抱えているもの、後悔、悔しさ、それを俺は知っている。」未来のべっちーは、過去の自分を見つめながら言う。「だからこそ、俺はこの未来を変えるために来た。」

キスイが一歩前に進み、「お前の未来を変える…か。」と呟いた。そこで静寂が訪れる。

「俺たちの手で、未来を変えるんだ。」奈々様がその場に歩み寄る。

その瞬間、未来のべっちーは何かを悟ったかのように目を閉じ、涙を流し始めた。

「ありがとう…お前たちなら、きっとできる。」未来のべっちーが静かに言うと、周囲の空気が変わり始めた。

キスイと仲間たちは、未来を変えるために戦う覚悟を決めた。その時、未来のべっちーは消え、まるで夢だったかのように姿を消した。
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虎猿
2025/04/04(金) 15:14:23 1w3brqgLbn[iPhone]
第10話「破壊の先に」

怪獣の足音が大地を揺るがす。キスイたちは最後の抵抗を試みるが、すでに疲弊しきっている。シエルの冷徹な目が、何もかもを見透かしているように光る。

「俺の計画は、もう止められない。」シエルが言ったその瞬間、怪獣が一歩踏み出し、かにに迫った。

「かに!」チャッピーが叫ぶが、間に合わなかった。怪獣の手がかにをつかみ、ぐしゃりと圧倒的な力で引き裂くように掴み上げる。

「うわああああ!」かにの絶叫が響く。痛みに耐えきれず、目を見開いて必死に暴れるが、力が全く及ばない。怪獣の手の中でかには無力に引き裂かれ、血が飛び散った。

「おい、やめろ!」キスイが叫ぶが、もう遅い。かにの姿は、完全に消え失せてしまった。

「ふっ、やっぱりお前たちはそうなる運命だった。」シエルが冷ややかな声で言う。

キスイは膝をつき、無力さに打ちひしがれる。「かに…」

その瞬間、奈々様が顔をしかめ、叫ぶ。「もう終わりだ!」

しかし、怪獣の足音は止まらず、すべてが崩壊していく。キスイたちは何もできずにただ見守るしかなかった。

END
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