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と!キスイチャッピーかに奈々様ストーリー323
1
虎猿
2025/04/11(金) 08:38:44 9JY9CHI4Gd [iPhone]
深夜の遊園地跡地。壊れたメリーゴーラウンドがキィキィと風に鳴る中、キスイは薄暗いベンチに腰掛け、肩にフクロウのぬいぐるみを乗せていた。そこへ現れる黒いシルエット。

「名を名乗れや」

キスイが言うと、影はふわりと浮かび、空間が歪んだ。現れたのは──“カイヤメの陰獣”。

身長は3メートル、顔は紙のように白く無表情。背中には20本の腕が生え、常に何かを祈るように組み替えている。その口元からは終始、「ァ…ゲメ…ゲゲメ…」という呟きが漏れ続けていた。

キスイは鼻をほじりながら立ち上がり、「よくわからんけど、殴ってええやつやな」と笑う。

カイヤメの陰獣は腕を広げ、一気に襲いかかる。だがキスイはその場に正座し、「心で戦うわ」と呟く。直後、カイヤメの動きが止まる。「え…?」と戸惑ったように眉が動く。

「お前…“戦い”の意味、わかってへんやろ?」とキスイ。すると陰獣の腕が一斉に震え出し、涙のような黒い液体を流し始めた。

そこへ、シエルが登場。黒と金の袈裟を纏い、手にはフラフープ。

「彼は魂で殴るんだ。君、そういうの弱いタイプでしょ?」

キスイはふっと立ち上がり、「じゃあそろそろ物理でいこか」と言って陰獣の20本の腕を全て、1本ずつハイキックで折っていく。「これは左ひじへの分」、バキ。「これは右わき腹のための儀式」、バキ。

最後の一撃は、「これは…俺が昔、親に無理やり習わされたピアノの分!」と言って飛び蹴り。陰獣は静かに崩れ、ただの黒い影となって地面に染み込んでいった。

キスイはシエルを見て、「影も光も、俺にとってはおやつみたいなもんや」とつぶやいた。

シエルは笑って、「君、やっぱり嘘つけないんだね」とだけ言った。
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