2025/04/16(水) 13:33:00 bRTWE3TuJn [iPhone]
チキンマン:100日後に死ぬ男。
キスイ:意味不明な言動と突発的な行動で混沌をもたらす自由人。哲学的な一面も。
チャッピー:明るく元気なムードメーカー。ツッコミ役になることが多い。
かに:お調子者で騒がしい。よく巻き込まれて痛い目を見る。
奈々様:無口でクール、鋭い観察眼を持つが、意外な行動に出ることも。
べっちー:キスイよりさらに頭がおかしい。常に想像を超えた行動をとる。
沢村俊哉:誰にも理解されない狂気の存在。発言も行動も全てが意味不明。
シエル:壺売りの謎人物。超常的な雰囲気と知性を併せ持つ。
写楽:理不尽な試練を与える存在。能面と着物姿、狂気じみた美意識の持ち主。
ぐるんぱおじさん:達観したようなことを言うが、中身はよくわからない変人。
おなりかずき:チャッピーにだけ毎回違う変な名前で呼びかけ、謎のアイテムを渡す存在
【第1話:チキンマン、告げられる】
「あなたは、100日後に死にます」
医者はカルテを見たまま、まるで天気予報のように告げた。
「……そうですか」
普通の見た目、普通の服装、どこにでもいる男。名前は――チキンマン。そう名乗っているだけで、本名は誰も知らない。
「チキンマン、死ぬってマジ?」とチャッピー。
「いやだって、名前ふざけてるし」とかにが笑う。
奈々様は黙って手を合わせていた。
「なあ、死ぬってどうすればいい?」
チキンマンはそう言って、自販機で当たりの出ないコーンポタージュを選ぶ。
缶が落ちる音が、やけに遠くに感じた。
「あと99日。……コーン多めがよかったな」
チキンマン、死まであと99日。
2025/04/16(水) 14:10:42 Dl1srTzGGw[iPhone]
【第5話:チキンマン、レジ打ちの哲学に目覚める】
「ピッ」「ピッ」
バーコードを読み取る音が、チキンマンの胸に深く染み込む。
今日もチキンマンはレジに立っていた。レジ横に謎の壺を並べて売ろうとしているシエルを、黙って見ている。
「この壺、電波を吸収します。あなたの記憶も吸収します」
「……陳列は禁止されています」
「ほう…さすがチキンマン」
意味不明な会話のあと、壺は撤去された。
べっちーがレジに飛び込んできて、「これスイカじゃない!爆弾だった!」と叫びながら床に倒れた。誰も驚かない。
奈々様はまた無言で豆腐を買った。豆腐の上に一滴、涙が落ちた。理由は不明。
「レジは、人生をスキャンする鏡だな…」
独り言をつぶやいたチキンマンの背に、夕日が差す。
死まであと95日。
2025/04/16(水) 14:26:13 Dl1srTzGGw[iPhone]
【第6話:チキンマン、エレベーターに閉じ込められる】
「開かない……だと?」
5階と6階のあいだで止まったエレベーター。中にはチキンマンと、偶然乗り合わせたぐるんぱおじさん。無言のまま、数分が経つ。
「この沈黙、嫌いじゃないですね」と、ぐるんぱが言う。
チキンマンは何も返さない。視線はずっと階数表示に向けられている。
「エレベーターとは、人生そのもの。上下に揺らされながら、目的地には着かないのです」
「……」
「ちなみに私はさっきからおなら我慢してます」
「それは口に出すべきじゃないと思います」
チキンマンが初めて喋った。
その瞬間、非常ボタンが勝手に押される。カニが屋上から釣り竿で操作していた。
「エレベーターに閉じ込められたら人生観変わるかなって思って〜!」
チキンマンはため息をついた。
死まであと94日。
2025/04/16(水) 14:35:47 Dl1srTzGGw[iPhone]
【第7話:チキンマン、道端で自分の像を見つける】
いつもの通勤路。ふと視線を横にやると、道端の小さな公園に、なぜかチキンマンそっくりの銅像が立っていた。しかもなぜかポーズは「スプーンを頭に刺して笑う」。
「……何これ」
「作ったのは私です」背後から声がした。シエルがスーツにマントという意味不明な格好で立っている。
「チキンマンの象徴性を抽出して、鋳造しました。素材は…あなたの家のフライパンです」
「え、俺のフライパン!?」
「それと、あなたの歯ブラシも溶かしてます」
「なんで!?」
「そしてこれは第一号。全部で77体作ります」
チキンマンはじっと銅像を見つめる。どこか哀しげに笑っていた。
死まであと93日。
2025/04/16(水) 14:45:43 Dl1srTzGGw[iPhone]
【第8話:チキンマン、カニと昼飯を食う】
「で? 死ぬって本気なわけ?」
ファミレスの向かいに座るのは、軽薄そうな男・かに。ランチプレートの唐揚げをつつきながら、こちらを見ている。
「本気かどうかは問題じゃないんだよ」チキンマンはポテトをつまみながら、遠くを見る。「大事なのは、“知ってる”ってことさ。終わりがあるって」
「うわ出た!そういう系のやつ!ていうか、なんで俺とメシ行こうと思ったん?」
「お前の軽さがちょうどいいと思ってな」
「うわ、なんか褒められてる気せーへん!」
そのとき、べっちーが厨房から乱入し、謎の液体が入った小瓶をテーブルに置く。「これ飲むと、すべてが“無”になる」
「お前は何の話してんねん!!」かにが叫ぶ。
チキンマンは、その瓶を見つめながら微笑んだ。
死まであと92日。
2025/04/16(水) 15:02:44 L6hFqD7hLk[iPhone]
【第9話:チキンマン、ベンチで語る】
午後の公園。チキンマンはベンチに座って、缶コーヒーを片手に空を見ていた。隣にはチャッピー。ソフトクリームを持ったまま、ベンチで跳ねるように座っている。
「なぁ、チキンマン。あと何日って、やっぱ怖いもんなん?」
「怖いよ。でも、見えてるぶん、変な安心もある」
「うーん……そっかぁ。でもさ、もし99日目に隕石降ってきたらどうすんの?」
「それは……ラッキーだな」
「おかしいやろ!死ぬ日ズレとるやん!」
「うん。でも、それもまたいいかもしれん」
チャッピーはソフトクリームを溶かしながら、何かを言おうとして、やめた。
すると、遠くの滑り台の上から、べっちーが飛び降りてくる。「時の流れに溺れた者だけが、“カステラ”になれる!!」
「うわ、来た!意味不明の精霊!」
死まであと91日。春風がやけに冷たかった。
2025/04/16(水) 15:12:20 L6hFqD7hLk[iPhone]
【第10話:カニ、チキンマンに説教する】
ファミレスの窓際。チキンマンはドリンクバーのミントティーをすすりながら、静かにメニューを眺めていた。対面には、腕を組んだかに。
「お前さぁ、もっと焦った方がよくない?残り90日だぞ?なんでそんな悠長に日替わりランチ頼んでんの?」
「焦っても、ランチはランチだよ」
「いやいやいや、そうじゃなくて!」
かには身を乗り出して続ける。「貯金は?やりたいことは?“本当に死ぬ”って実感ある?」
「ない。でも、毎日心臓は動いてるから、多分正しい」
「お前な……」かには呆れた顔をしながらも、どこか寂しげだった。
そのとき厨房からチャッピーの声がした。「おまちどー!カニカニパフェ特盛り~!!」
「誰が頼んだんだよそれ!」
店内がわずかにざわつく。死まであと90日。ファミレスの空気は、妙に甘ったるかった。
2025/04/16(水) 15:44:58 L6hFqD7hLk[iPhone]
【第11話:チキンマン、深夜の公園で体操をする】
午前3時、公園の鉄棒の下。月明かりの下、チキンマンが静かにラジオ体操をしていた。ラジオなどない。ただの無音の体操である。
「……いーち、にーい、さーん、しー……」
「何やってんだよ……」声の主は奈々様。スーツのまま、片手にカレーパンを持っている。
「体操。健康になれば、死なない気がして」
「なるよ、死ぬよ。それが物語の前提だから」
チキンマンは一度動きを止める。「じゃあ、逆に健康になればなるほど、惜しまれる?」
奈々様はカレーパンを一口。「いや、逆に変な空気になる。『元気だったのにね~』って」
「じゃあ不健康アピールした方が?」
「そこはもう、自分で決めろよ」
再び始まる体操。「ごーお、ろーく、しち、はーち……」
すべてが無音の中、鉄棒だけが月光に鈍く光っていた。
2025/04/16(水) 16:14:13 L6hFqD7hLk[iPhone]
【第12話:チキンマン、スーパーで大暴れ】
午後のひととき、チキンマンは近所のスーパーに来ていた。カートを押しながら、何かにとりつかれたように棚を眺めている。周りの買い物客が少し距離を取る中、彼は無言で商品の値段をじっくり見つめていた。
突然、カートが大きな音を立てて進み始め、チキンマンは商品棚をガラガラと引き寄せる。
「うわ、危ない!何してんだよ!」と声が響く。声の主はチャッピーだった。彼は手にカップラーメンを持ちながら、驚いていた。
「買い占め、しようと思って」
「何を?」
「すべて」
周りの客が驚きの目で見る中、チキンマンは次々と商品をカートに放り込む。米、缶詰、チョコレート、パン……一通り見て、納得した顔で振り返る。
「これで俺の命は伸びるかな」
「全然伸びないよ」
「いや、命は物理的に伸ばせるって言うじゃん」
「それ、伸びるのは寿命じゃなくて……」
チャッピーの言葉は途中で途切れる。チキンマンは何事もなかったかのように、次の棚に向かってカートを押し続けた。
2025/04/16(水) 16:17:18 Hfh1ZHDn1K[Android]
どんだけ書き溜めとんねん(笑)
2025/04/16(水) 16:20:55 L6hFqD7hLk[iPhone]
【第13話:チキンマン、銭湯で静かに語る】
夕暮れ。チキンマンは銭湯の湯船に一人、首まで浸かっていた。湯気が立ち込め、まばらな客たちの中で、彼だけが異様に静かだ。
「……この湯、何度あるんだろう」
ぽつりと呟く。
そこへ、偶然来ていたかにとチャッピーが入ってくる。
「お、チキンマンじゃん!こんなとこ来るんだな」
「おーい、こっちあったかいぞ〜!」
だがチキンマンは応じない。じっと壁の富士山を見つめている。
「……この湯船に、あと何回入れるかな。98回か。いや、97か」
かにが首をかしげる。「なんか言ってるけど……?」
チャッピーが苦笑いしながら隣に座る。「気にすんな、あいつたぶん100日後に死ぬ設定なんだよ」
「設定て」
しばらく沈黙が流れる。するとチキンマンがぼそっと言った。
「……風呂の温度、命の余熱に似てる気がする」
二人は何も返せなかった。湯気の中で、チキンマンの目だけが、どこか遠くを見ていた。
2025/04/16(水) 16:37:46 L6hFqD7hLk[iPhone]
【第14話:チキンマン、ホームセンターで佇む】
日曜の午後、チキンマンはホームセンターの木材コーナーで、ずっと同じ板を見つめていた。
手にはメジャー。だが何も測らない。
「何か作るんですか?」と店員が声をかける。
「うん、棺。」とチキンマン。
「えっ」
すぐに「うそうそ」と笑ってごまかすが、目は笑っていない。
そこへ、シエルが登場。今日は蛍光ピンクのハイネックにバラの刺繍ジーンズという派手な格好。
「また変な買い物してるのか、チキンマン」
「いや、今のうちにサイズだけは測っておこうと思って。俺、あと86日だから」
「何のカウントだ」と呆れるシエル。
そこへべっちーが全力疾走で現れ、なぜか巨大なラバーカップを振り回している。
「棺の代わりにこれで宇宙へ行ける説、思いついたーッ!!」
店員は無言で走って逃げていった。
木材の香りの中、チキンマンは静かに板を撫でる。
「……悪くないな、パイン材」
2025/04/16(水) 17:15:27 d246nWrfOJ[iPhone]
第15話「チキンマン、映画館にて」
チキンマンは、映画館のポスターを見て立ち止まった。タイトルは『明日、死ぬかもしれないチキンの詩』。偶然か、それとも運命か。中へ入ると、ポップコーンの匂いと共に奈々様がいた。無言でチケットを差し出され、二人で並んで座る。「この映画、誰が主演だと思う?」チャッピーが前列から振り返る。「まさかの…べっちーやで」とかにが呟くと、スクリーンに全裸のべっちーが現れた。「命って…チキンやと思わん?」と、語り始める。「僕はチキンマン…」チキンマンはボソッと呟いた。隣の奈々様が静かにうなずく。「君は…黒いチキンかもな」
16日目へつづく。
2025/04/16(水) 17:40:10 d246nWrfOJ[iPhone]
第16話「チキンマン、ベンチに座る」
映画館を出たチキンマンは、公園のベンチに腰かけた。空は曇り、風は少し冷たい。横にはチャッピーが座っていた。無言の時間が流れる。そこへべっちーが突然現れ、頭に植木鉢をかぶって「俺が新しいベンチだよ!」と叫んだ。
チキンマンは一切反応しなかった。
「……元気ないな」とチャッピーがポツリ。かにはブランコを漕ぎながら「チキンって、そもそもどこが美味いんやろな」と叫ぶ。
奈々様は遠くから望遠鏡で見守っていた。
「明日、もし目が覚めなかったら…」とチキンマンが呟くと、べっちーがそっと言った。「じゃあ、今から目閉じる?」
17日目へつづく。
2025/04/16(水) 17:50:15 d246nWrfOJ[iPhone]
第17話「チキンマン、朝食を語る」
翌朝、チキンマンはキッチンで食パンを焦がした。バターもなければジャムもない。だが「焦げって、運命みたいなもんやからな」とつぶやき、黒くなった面を表にして食べ始めた。そこへシエルが現れ、金色のローブを羽織り「それ、私の朝食です」と言いながら全く関係ない食材(茹でた靴ひも)をテーブルに並べる。
「なあ、幸せって、トーストの裏側に落ちてる気がせえへんか?」とチキンマンが問いかけると、キスイが天井から逆さに現れ「それはもう、“天丼”の概念や」と答える。
全員無言になった。トースターだけが、再びパンを焦がす音を立てていた。
18日目へつづく。
2025/04/16(水) 18:03:40 d246nWrfOJ[iPhone]
第18話「公園の鳩に笑われる」
チキンマンは近所の公園でベンチに座っていた。鳩が5羽、彼の足元をくるくる回る。べっちーがやってきて、突然鳩に向かって「お前ら、どこ中だよ!」と怒鳴った。鳩たちは無言で飛び立った。
「おまえさあ、鳩にマウント取って何になるんや」とチキンマンが呆れると、べっちーは逆立ちしながら「鳩が笑った!聞こえた!鳩のくせに笑った!」と叫ぶ。そこへかにが現れ、「鳩は“笑う”より“悟る”ぞ」と謎の情報を口にし、すぐ去った。
残されたチキンマンは、落ちていた羽根を拾い「この羽、どっから来たんやろな」とつぶやいた。答えは風の中にある。
死まで、あと82日。
2025/04/16(水) 18:13:18 d246nWrfOJ[iPhone]
第19話「死んだふり大会」
広場で「第1回・死んだふり選手権」が開催されていた。優勝賞品は温泉ペアチケット。チャッピーは真顔で全力参加、奈々様はカエルのように静かに横たわる。かには「俺、本気出したら心肺停止できる」と謎の自信。
チキンマンも参加。息を潜め、完璧な死んだふりを披露するが、べっちーが近寄ってきて突然「死んでるやつにカンチョーしたら生き返る説〜!」と叫びながらカンチョー。チキンマンは「アァッ!」と悲鳴を上げて起き上がる。
失格。
帰り道、チキンマンは空を見上げた。「死んだふりさえできひん男に、明日はあるんか」
死まで、あと81日。
2025/04/16(水) 18:18:26 d246nWrfOJ[iPhone]
第20話「ガムと間違えて未来」
商店街で配られていた試供品。「これ噛むと未来が見えるよ」と書かれた妙なチューインガムをキスイが全力で配っていた。チキンマンも貰う。「嘘くさ」と呟きながら噛むと、急に視界がフラッシュ。見えたのは、焼き鳥の看板の下で笑う自分。全裸。
「…未来、しょぼ。」
奈々様が横から呟く。「未来は逃げない。お前が進まないだけだ」
べっちーは「うわ、わたしの未来これ!光の粒!」と叫びながら空中でY字バランスしていた。かにはガム飲み込んで「未来つまった!」と苦しんでいた。
チキンマンはガムを吐き捨てて言った。「俺は…俺で未来を作る」
死まで、あと80日。
2025/04/16(水) 18:19:23 d246nWrfOJ[iPhone]
第21話「空からマヨネーズ」
昼下がりの公園。チキンマンはベンチでパンをかじっていた。すると突然、空から巨大なマヨネーズの容器が落ちてきて、彼の横にズドン。中からキスイが飛び出した。「マヨの神に挨拶してきた!」と叫びながら。
「なにしてんの…?」とチキンマン。
べっちーが続いて落下。「空の中にもう一つの地球があったよ!カエルばっかの!」と何かを訴えるが、鼻から糸こんにゃくが垂れている。
奈々様が冷静に言った。「これは兆しだ。マヨネーズの乱、近い」
かにはフリスビーのような目で「俺は、すべて見ていた…」と呟いたが、何も見ていなかった。
チキンマンはマヨネーズを手に立ち上がる。「俺が塗るよ、未来をさ」
死まで、あと79日。
2025/04/16(水) 18:22:02 d246nWrfOJ[iPhone]
第22話「ゾウと約束」
チキンマンは動物園の片隅で、一頭のゾウと見つめ合っていた。
「お前は覚えてるか? あの日のことを」チキンマンがつぶやくと、ゾウはゆっくりと鼻をのばして、彼の肩を優しく叩いた。
かにが売店から戻ってきて叫ぶ。「おい!なんでゾウと話してんだよ!ていうかこれ、ゾウじゃなくて『おっきいおじさん』じゃん!」
「名前はパオーンさんです」と奈々様が解説してくるが、誰も聞いてない。
そのときべっちーがスピーカーを持って登場。「パオーンさんが10年前にチキンマンと契約を交わした証拠映像を発見しました!」映像は謎の呪文を唱える幼少期のチキンマンとゾウ。
「また俺は…あの約束に縛られるのか」
チキンマンは静かに呟いた。
死まで、あと78日。
2025/04/16(水) 20:38:23 z7czS7f1AP[iPhone]
第23話「空を歩く日」
朝、目を覚ますと、チキンマンの部屋の天井がなかった。正確には、天井の上に空があった。雲が部屋の中に流れ込み、チャッピーが布団でスカイダイビングしていた。
「いやいやいや!なんで俺の部屋が空なの!?」とチキンマン。
「今日は“空を歩く日”です」とシエルが、空中に浮かぶ紅茶を啜りながら言った。金色の羽根が背中から生えている。
「お前らどこでその情報仕入れてんだよ!?」と叫ぶチキンマンに、キスイが言う。「空に立てば、地面の大切さがわかるぞ。あと焼きそばは落ちる」
べっちーは逆さに浮かびながら「チキンマン、地球は思ったよりも軽かったぞ!」と謎の報告。
「俺は…どこに立てばいい?」
空を掴むチキンマンの指先が震えていた。
死まで、あと77日。
2025/04/17(木) 07:11:44 b52LsbvvvM[iPhone]
第24話「砂漠のアイス」
その日、チキンマンは目を覚ますと砂漠にいた。灼熱の太陽、視界の彼方まで続く砂の大地。隣にはなぜかアイスクリーム屋台があり、チャッピーがソフトクリームを巻いている。
「溶けるだろこれ!」と叫ぶチキンマンに、チャッピーは微笑みながら「砂漠のアイスは、魂の中にあるんだよ」と言った。
「意味がわからねぇ…」
遠くからシエルがパラソルを差して歩いてきた。全身金ぴかのスーツ。氷の塊をひとつ手渡すと、「この中に、記憶がある」と囁いた。
「え?…何の記憶だよ?」と聞くと、氷は溶けて消えた。
キスイはラクダの上で「水を飲む前に、水とは何かを考えろ」と言いながらナスをかじっていた。
チキンマンはふと、べっちーの作った「熱を感じない帽子」を被ってみたが、逆に熱が10倍になった。
死まで、あと76日。
2025/04/17(木) 07:21:14 b52LsbvvvM[iPhone]
第25話「チキンマンと透明バス」
朝、チキンマンが目を覚ますと、バス停に立っていた。周囲に人影はなく、時刻表には「透明バス 9:42」とだけ書かれていた。
しばらくすると、風だけが通り抜けるような感覚。透明なバスが確かにそこに停まり、扉が“音だけ”で開いた。チキンマンは乗り込む。座席にはかにがいて、サングラスをかけて無言でうなずいた。
「どこ行き?」と聞くと、かには口笛を吹きながら窓の外を指差す。そこには“どこでもない”と書かれた標識が。
後方にはキスイと沢村俊哉が将棋をしており、駒の代わりに豆腐を使っていた。
「飛車、溶けた」と沢村が言うと、キスイは「じゃあ俺の勝ちだな」とパンツを脱いだ。
バスの終点でチャッピーが降りながら言った。「ここが…帰る場所かもしれないね」
死まで、あと75日。
2025/04/17(木) 07:23:27 b52LsbvvvM[iPhone]
第26話「チキンマン、消えるバイキング」
今日は食べ放題のバイキング。チキンマンは目を輝かせて皿を抱えた。最初に盛ったのはローストビーフ、次はエビチリ、最後にわらび餅。しかし、戻るたびに料理が消えていく。誰かが食べた? いや違う。料理そのものが存在しなかったかのように跡形もない。
「記憶だけで食ったな」とキスイが肩を叩いてきた。
べっちーがソフトクリーム機に頭を突っ込んで「脳が冷える〜!」と叫んでいる横で、沢村俊哉が「私はもう“味”の概念を超えた」とテーブルに向かって語りかけていた。
かには「これ詐欺やろ」と憤慨していたが、奈々様が「静かにしろ。わらび餅が喋っている」と言った。
チキンマンは何も食べられなかったが、なぜか腹は満たされていた。
死まで、あと74日。
2025/04/17(木) 07:26:18 b52LsbvvvM[iPhone]
第27話「チキンマン、役所で戸惑う」
引っ越しの手続きで区役所に来たチキンマン。だが受付の女性が突然、目を見開きこう言った。
「あなたは…戸籍がありません」
一瞬で空気が凍る。
「え? ぼく、実体ありますけど…」
係員がどんどん集まってくる。べっちーがカウンターに飛び乗り、「彼はたしかにチキンじゃない!でも人でもない!」と叫ぶ。
「じゃあ…私は何者なんだ」
と呟いたチキンマンに、シエルが現れて囁いた。
「キミは“概念”だ。もう紙では扱えない存在なのさ」
奈々様は黙ってチキンマンに住民票を渡した。そこには「所属:混沌」と書かれていた。
かには「無茶苦茶すぎる」と書類をぐちゃぐちゃにした。
チキンマンはうなずいた。
死まで、あと73日。
2025/04/17(木) 07:29:14 b52LsbvvvM[iPhone]
第28話「チキンマン、バイト面接に挑む」
「やっぱり一度、社会に触れてみたいんだ」
そう言って、チキンマンは近所のコンビニのバイト面接へ向かった。
面接官は、真顔のチャッピーだった。
「特技は?」
「心臓を意志で止められます」
「短所は?」
「止めすぎることです」
チャッピーが一瞬沈黙し、履歴書を逆さにして見つめた。
「これ、名前が“チキンマン”ってだけ書いてあるけど…フルネームは?」
「チキンマン・アブストラクト・虚無・三世です」
その瞬間、天井を破ってキスイが降ってきた。
「働くより、泳ごうぜ」
「ここ山の中だけど!?」と叫ぶチャッピーの横で、シエルが黙って浮き輪を膨らませていた。
バイトは不採用。
死まで、あと72日。
2025/04/17(木) 07:35:39 b52LsbvvvM[iPhone]
第29話「チキンマン、自己啓発セミナーへ行く」
「死ぬまでに一度くらい、自己を啓発しておこうと思ってな」
そう言ってチキンマンが向かったのは、謎のセミナー会場。受付にはべっちーが立っていた。
「ようこそ、“無から始める自己”へ!服脱いで!!」
「どういう理論!?」
中では、沢村俊哉が壇上で叫んでいた。
「まず自分の名前を忘れろ!次に全員で頭に大根を乗せてジャンプ!これは深いぞ〜!」
参加者たちは目が虚ろだ。チキンマンは大根を頭に乗せたまま震えた。
「この中に答えがあるのか…?」
キスイが叫ぶ。「この世界自体が自己啓発だよね〜」と逆立ちしながら消えた。
チャッピーは会場の隅で、なぜかスープを配っていた。
「誰が…誰を啓発してるんだ…」
出口の見えない迷宮で、チキンマンはただ息をした。
死まで、あと71日。
2025/04/17(木) 07:43:14 b52LsbvvvM[iPhone]
第30話「チキンマン、初めてのセグウェイ」
「なんとなく…セグウェイに乗らなきゃいけない気がしたんだ」
朝、そう言ってチキンマンは町のレンタル屋に向かった。貸し出し担当はなぜか奈々様だった。
「整備は済んでいる。だが、道は険しいぞ。カエルの道だ」
「何その比喩?」
セグウェイにまたがり、ゆっくりと走り出すチキンマン。すると、通りの向こうからかにが現れた。
「おい、それで万博に行く気か!?今どき車だろ!」
「いや、これは…魂の移動手段なんだ!」
次の瞬間、坂道で暴走。べっちーが道路にバナナを撒いていた。
「ぴよぴよアタック開始だ〜〜!」
滑って宙を舞うセグウェイ、回転しながら空へ飛ぶチキンマン。
「自由ってこういうことかもな…」
電柱に激突して落ちた彼は、微笑んでいた。
死まで、あと70日。
2025/04/17(木) 07:48:45 b52LsbvvvM[iPhone]
第31話「チキンマン、歯医者で無言の闘争」
「虫歯、一本だけね…」
チキンマンはそう言って、近所の歯科医院へと向かった。受付にいたのはチャッピーだった。
「お名前どうぞ〜!あれ?チキンマン!?あのチキンマン!?じゃあ今日の治療、テンション高めでいきます!」
呼ばれて診察室に入ると、なぜかユニフォーム姿のシエルがいた。
「ふふ…今日はこの“超音波ドリル・ブレイカー”で君の歯を奏でるよ」
「それ医療機器ちゃうやろ」
背後のカーテンが揺れる。そこから、白衣を着たべっちーが突如現れた。
「今日は6回、歯の神経に話しかける予定だ〜〜!!」
治療椅子で身動きできないチキンマン。
奈々様が窓の外から呟く。「これは…口内戦争だな」
そして、静かに麻酔が効いていく中、チキンマンは心で叫んだ。
「歯って、意外と人生だったのかもな…」
死まで、あと69日。
2025/04/17(木) 07:51:05 b52LsbvvvM[iPhone]
第32話「チキンマン、バンドを組む」
「バンド、やらへん?」
かにがコンビニの前でチキンマンに声をかけてきた。唐突だったが、チキンマンは頷いた。名前は「チキン・アンド・ザ・メカバクダン」。
チャッピーはキーボード担当。なぜかタモリ倶楽部のテーマを無限に弾いていた。
キスイはベース。「弦は全部張ってない。魂で鳴らす」と豪語。
ドラムはシエル。火花を散らしながら「これは鼓動ではない、警告音だ」と呟く。
べっちーは楽器じゃなく「叫び声担当」。マイクスタンドを食べていた。
奈々様は観客席で腕を組み、まったく動かない。
ライブ当日、チキンマンはギターを持って立った。音は出なかった。でも全員が拍手した。
「これが音楽や…」と呟いたかにの目に、涙がひとすじ。
そして空を見上げ、チキンマンはつぶやいた。
「音が鳴らなくても、心が響けばええんやろ」
死まで、あと68日。
2025/04/17(木) 07:53:47 b52LsbvvvM[iPhone]
第33話「チキンマン、プラモデルを買う」
雨の午後。チキンマンは模型店の前で立ち止まった。何気なく入ったその店には、数えきれないほどのプラモデルが並んでいた。戦車、ロボット、帆船…そして棚の一番上に、不自然に輝く“黄金の鶏型メカ”。
「これ、限定品やで」
店主が言った。まるでチキンマンのために作られたようなそのキットに、彼は静かに手を伸ばした。
家に帰ると、黙々と作業を始めた。ニッパーもピンセットも使わず、指先だけで組み立てる。シエルが来て、ぼそりと呟いた。
「お前の集中力、超常現象に分類されるべきやな」
完成した黄金の鶏型メカは、どこかチキンマンに似ていた。静かな達成感が胸を満たす。
「死ぬ前に、もう一回くらいガンプラ作りたいなぁ」
彼は笑った。
死まで、あと67日。
2025/04/17(木) 09:27:14 FWoDliujOh[iPhone]
第34話「チキンマン、手紙を書く」
チキンマンは古びた文房具屋で、一枚の便箋を買った。少し黄色がかった紙に、やわらかな手触り。何を書くかは決めていなかったが、なぜか「今、書かねばならない」と思った。
家に帰ると、ちゃぶ台に向かい、ゆっくりとペンを走らせた。
「やあ、未来の俺。そっちはどうだ。
チキンなままか?
それとも、少しはマシになったか?」
筆は止まらず、たわいもない話を延々と綴る。「昨日見たカラスが片目だった」とか、「冷蔵庫のプリンは食べた犯人不明」とか。
誰にも見せない手紙なのに、どこか晴れやかな気持ちになる。
夜、奈々様が来て便箋を一瞥。
「それを誰かに渡すことはないのか?」
「渡すとしたら…最後の日やな」
そう言って、チキンマンは便箋をそっと引き出しにしまった。
死まで、あと66日。
2025/04/17(木) 09:51:42 HprjdoV46f[iPhone]
第35話「チキンマン、謎のスカウトを受ける」
朝、駅前のロータリーでチキンマンがパンをもぐもぐしていると、スーツ姿の男が声をかけてきた。
「あなた、探してました。ぜひ、うちの“秘密組織”に来てください」
「は?」
チキンマンが顔をしかめると、男は無言で名刺を差し出した。
そこには、「株式会社 万象研究所」とだけ記されていた。
「チキン、あなたには“特殊な時間軸の揺らぎ”がある。我々と共に世界を見てほしい」
そう言って、男は立ち去った。
その夜。キスイが唐突に言った。
「そういえば昔、“時間の匂い”って嗅げる人と出会ったことあるわ」
「おるんか、そんなやつ」
「おった。で、3秒後に消えた」
チキンマンは名刺を眺め、ポケットにしまった。
何かが、少しずつ動き始めている。そんな気がした。
死まで、あと65日。
2025/04/17(木) 09:53:22 HprjdoV46f[iPhone]
第36話「チキンマン、万象研究所を訪ねる」
翌日。チキンマンは好奇心に負けて、「株式会社 万象研究所」と書かれた名刺の住所へ向かった。古びたビルの3階。ノックすると、自動ドアが勝手に開いた。
中は、まるで宇宙船の内部のような白い空間。壁一面に時計が埋め込まれ、すべて微妙に違う時間を指していた。
「ようこそ、チキンさん」
例のスーツの男が現れた。名を、精進(しょうじん)というらしい。
「あなたの“余命”は特異点に位置している。我々は、その先を観測したい」
「余命って、そんなん…あ、俺あと65日で死ぬらしいねんけど」
「知ってます」
精進は笑った。冷たいが、悪意のない笑顔。
「あなたが“死に至る構造”を持っているなら、それを壊すこともできるかもしれない」
チキンマンの心に、初めて“希望”が芽生えかけた。
死まで、あと64日。
2025/04/17(木) 09:57:04 HprjdoV46f[iPhone]
第37話「チキンマン、構造を見る」
「…で、俺の“死に至る構造”って何なん?」
チキンマンは精進に尋ねた。彼は部屋の中央にある半球状のカプセルを指さす。
「これに入れば、あなた自身の“内的構造”を視覚化できます。見る覚悟があるなら」
「見るわ。そんなん…見たら、なんか変わるかもしれんし」
チキンマンは躊躇なく装置に入った。頭に透明なヘルメットが装着され、意識がぼやける。
次の瞬間、彼は真っ白な空間にいた。そこに、巨大なチキンマンが立っていた。皮膚の下に歯車。神経の代わりに針金。心臓の位置には、小さな砂時計が逆さに埋まっている。
砂は、確かに少しずつ落ちていた。
「これが…俺?」
彼は自分に問いかけた。チキンマンの目の前で、砂がひと粒、落ちた。
死まで、あと63日。
2025/04/17(木) 10:35:34 HprjdoV46f[iPhone]
第38話「チキンマン、何者かにログインされる」
翌朝、チキンマンは目覚めると、スマホの通知が100件を超えていた。
「ん…?ログイン試行?」
すべての通知に共通する文面。「あなたのアカウントに、チキンマン本人からアクセスがありました。」
「俺やけど!?」と叫ぶ彼の背後で、パソコンの電源が勝手に入り、SNSに「私は本物のチキンマンです」と投稿されていく。
「おい待て!乗っ取りどころか、俺が複製されてるやん!」
画面には、彼と全く同じ顔で微笑むアイコン。そしてDMが届く。
《なぁ、交代してくれへん?もうすぐ死ぬとか、しんどいやん?》
チキンマンは震えた。
「誰やねん…俺やけど…誰やねん…!」
彼はログアウトボタンを連打したが、画面にはずっとこう書かれていた。
“ログアウトできません。あなたはすでに存在していません。”
死まで、あと62日。
2025/04/17(木) 12:44:23 AN39ig9PWA[iPhone]
第39話「チキンマン、精進の家で寝る」
もう自分が自分でないような気がして、チキンマンは精進の家に泊まることにした。
「チキン、お前…顔色悪いぞ」
「俺…ログインされてん」
「お前なに言ってんの?」
精進はとりあえず毛布を貸してくれた。
夜、チキンマンは目を開けたまま横になっていた。天井の木目が人の顔に見える。笑っているような、泣いているような。
「なぁ精進、俺ってさ…いるんかな、ここに」
「いや、お前、寝てる場所俺の布団な。現実におるよ」
精進は言って、テレビをつけた。そこにはチキンマンそっくりの男が映っていた。
【次週、衝撃の正体が明らかに】
「……え、俺?」
画面の男がカメラ目線でウインクした。
死まで、あと61日。
2025/04/17(木) 13:38:19 U1nHqt81rO[iPhone]
第40話「もう一人のチキンマン」
画面に映る男は、チキンマンと同じ顔、同じ声だった。
ただ一つ違ったのは――その男の目が、明確な“目的”を持っていたことだ。
「俺の名は、チキンマン。お前は偽物だ」
テレビ越しに告げられたその言葉に、部屋の空気が凍る。
精進がリモコンを落とす音がやけに響いた。
「え?なに?え?お前、本物じゃなかったん?」
チキンマンは立ち上がった。「いや俺が…俺だよ!?いやでも…」
画面の“もう一人のチキンマン”は、笑った。
「今日からは“脱落者”として観察対象に入ってもらう」
突如テレビから光が溢れ、部屋中に数字が浮かび上がる。
“実験体:#721 状態:覚醒未遂”
精進が呟いた。「お前、チキンっていうより…なんかもう…研究材料じゃん…」
チキンマンの足元が揺れた。
死まで、あと60日。
2025/04/17(木) 13:44:15 U1nHqt81rO[iPhone]
第41話「チキンマン・ゼロ」
夜の路地裏。チキンマンはフードを深く被り、うつむきながら歩いていた。
自分は誰なのか、本当に“チキンマン”だったのか――答えは出ない。
そこへ、突然現れたのは白いスーツの老人。片手に錆びた鶏の置物を抱えていた。
「お前が“ゼロ”なのか、それとも“ワン”なのか…興味があるのう」
チキンマンは立ち止まる。「あんた誰だ」
「ワシか?ワシは“精製管理者・カイヤメ博士”じゃよ。チキン計画の生みの親さ」
精進とチャッピーが遠くから様子を見ている。
「やべぇやつ出たな…」とチャッピーが呟き、精進は震える声で言った。
「…あれ、たぶんラスボスや…」
カイヤメ博士は笑う。「お前には選択肢がある。“人間”として死ぬか、“チキンマン”として生きるかじゃ」
チキンマンは答えない。ただ拳を握った。
死まで、あと59日。
2025/04/17(木) 13:45:41 U1nHqt81rO[iPhone]
第42話「鶏の選択」
カイヤメ博士の言葉が脳内で反響する。「人間として死ぬか、チキンマンとして生きるか…」
チキンマンは重く沈黙したまま、博士の前に立つ。「俺は……まだ、決めてない」
博士は静かに笑った。「ならば“試練”を与えよう。肉体も精神も、限界まで引き裂く“鶏化の儀式”じゃ」
博士の手元のリモコンが押され、地面が割れる。地下から現れたのは巨大な装置。
「これが“コッコ・コンプレッサー”じゃ。入るかどうかはお前の自由」
精進が遠くから叫ぶ。「入るなああああ!チキンになんのやめろおおお!」
チャッピーは混乱しながらスマホで撮影している。「バズるぞこれ…!」
キスイは唐突に現れ、「卵に生まれる前の記憶って、なんとなくあるよな」と呟いた。誰も聞いていない。
チキンマンは装置に手をかけた。
「俺が俺である理由を、見つけたいんだ」
死まで、あと58日。
2025/04/17(木) 13:46:32 U1nHqt81rO[iPhone]
第43話「コッコ・コンプレッサー起動」
チキンマンが装置に足を踏み入れた瞬間、周囲の空気が変わった。カイヤメ博士が低く笑う。「さあ、始まるぞ…チキン・トランスフォーメーション第一段階!」
中から轟音。装置の中でチキンマンの影が激しく歪み、羽毛のような何かが舞い始める。
チャッピーは震える声でつぶやいた。「やばい…これ、SNSに上げたらBANされるやつや…」
精進が装置に駆け寄ろうとするが、シエルが静かに立ちふさがる。「これは彼の選択だ。黙って見届けるべきだろう」
「チキンになるって選択がある世界線、見たくなかった」とかには涙目でつぶやいた。
そのとき装置が爆音とともに開き、中から出てきたのは…
上半身裸で、翼を背負い、目が異常に澄んだチキンマンだった。
「名前を変える気はない。ただ……これからは、“チキンマン”という概念を変えていく」
みんな一瞬黙る。
「誰か止めろや」と精進が叫んだ。
死まで、あと57日。
2025/04/17(木) 13:48:26 U1nHqt81rO[iPhone]
第44話「チキンマン、国会へ行く」
その日、チキンマンはスーツに翼をしまい込み、堂々と国会議事堂の前に立った。報道陣がざわめく。
「本日、私は“家畜の尊厳”について意見陳述を行う!」と、マイクを通して叫ぶチキンマン。
中継を観ていたチャッピーが叫ぶ。「おいおい、いつの間に政治活動家になったんだよ!」
精進はカイヤメ博士に詰め寄る。「あんた、何を吹き込んだんだ!」
「私はただ…彼の中に眠る“卵の記憶”を目覚めさせただけだよ」
国会の壇上で、チキンマンは力強く語る。「われわれは…卵から始まった存在だ。ならば尊厳も卵に等しいべきである!」
議員たちはざわめき、かには「え、卵に等しいって何?」とこぼした。
その直後、背中から翼が暴発して国会の天井を突き破った。
「空も…答えを待っている」
誰かが言った。「あれ、参政権の話だったっけ?」
死まで、あと56日。
2025/04/17(木) 13:49:23 U1nHqt81rO[iPhone]
第45話「卵の記憶」
国会で天井を突き破ったチキンマンは、そのまま空へと舞い上がった。だが飛行能力はゼロ。滞空数秒で議事堂前の噴水に落下し、警備員に回収された。
その夜。カイヤメ博士のラボ。
「彼の“卵の記憶”が覚醒しかけている。もうすぐだ…もうすぐ殻が割れる」
精進が訊いた。「その“卵”って…比喩じゃないんですか?」
「違うよ。物理的な卵だ。中身は…まだ不明だが」
キスイが突然ラボに突入し、床に横たわるチキンマンにカスタードクリームをかけ始めた。
「チキンにはスイーツ!これ常識だよね?」
べっちーが現れ、無言でラボの壁に「たまご」とスプレーで書き続ける。止めない。
チャッピーが混乱の渦中で叫ぶ。「誰かこの世界に目を覚ましてくれ!」
そのとき、チキンマンが微笑んだ。「ようやく見えてきた…白身の奥の真実が…」
死まで、あと55日。
2025/04/17(木) 13:50:06 U1nHqt81rO[iPhone]
第46話「転卵」
夜明け前。チキンマンは目覚めとともに、ベッドから静かに床へと転がった。
「これは…転卵期に入った証拠だ」
カイヤメ博士が記録しながら呟く。「鳥類の卵は温められるとき、定期的に回転させられる…それに似た動きだ。彼の内部で“黄身の真理”が移動を始めている」
その頃、キスイは精進とともにダンボール製の巨大孵化装置を制作していた。
「名前は“ママボックス”!」
「いや、それで孵化させるのは無理あるって…」
奈々様はチキンマンを見つめながらぽつりと言う。
「殻を破るのは、内側の力だけだ」
かにが「あんた詩人かよ」と突っ込むも、無視された。
べっちーは卵型のスーツを着て現れ、チャッピーに言った。
「私は新しい朝を運ぶ者。名は…ハミング黄身黄身。」
チャッピーは無言で彼を窓から放った。
死まで、あと54日。
2025/04/17(木) 13:50:40 U1nHqt81rO[iPhone]
第47話「母なる殻」
カイヤメ博士の研究所に、奇妙な装置が運び込まれた。名前は「エッグ・シンクロナイザーZ」。
「これに入れば、チキンマンの精神と卵の真理が一致するはずです」
博士は興奮気味に語るが、精進はそっとキスイの袖を引いた。
「なあ、これ…ただの風呂桶にライトつけただけじゃね?」
だがチキンマンは何も言わず、その中へとゆっくり浸かっていった。
すると突然、装置から「コケーーーーッ!!」という奇声が響き渡る。
中から立ち上がったチキンマンの額に、謎のマークが浮かび上がっていた。
それは、目玉焼きの形だった。
「見えた…母なる殻が…割れる音が…」
チキンマンは呟く。奈々様は目を細めて言った。
「始まったな、孵化戦争…」
べっちーは突然、足元のタマゴボーロを食べて叫んだ。
「俺の体内でもなにかが…!!」
死まで、あと53日。
2025/04/17(木) 14:24:24 U1nHqt81rO[iPhone]
第48話「黄身の刻印」
チキンマンの額の目玉焼きマークが光を放ち、周囲の空間がねじれた。精進が思わず叫ぶ。
「やばいって!時間…歪んでる!」
博士・カイヤメは慌てて計器を叩きながら言った。
「これは…想定外!時空の殻が…孵り始めたのよ!」
奈々様の目に、かつて見たことのない不安がよぎる。
「おい、あれを見ろ…!」
そこに浮かび上がったのは、チキンマンの過去の記憶。
幼い頃の彼が、焼き鳥屋の前で泣いていた。
「ママ…食べないで…」
その記憶に包まれるように、空間が閉じる。
直後、チキンマンの身体が宙に浮かび、彼の口がゆっくりと開いた。
「“あの子”が来る……」
その瞬間、天井が砕け、逆さまの影が降りてきた。
べっちーが叫ぶ。「あれ…誰!?」
死まで、あと52日。
2025/04/17(木) 17:23:52 Od8OZliBF3[iPhone]
第49話「影の名は」
逆さまに現れた影は、天井の破片とともにゆっくりと舞い降りた。
それは人のようで人でなく、巨大なニワトリの面を被っていた。
胴体は鏡のように反射し、見た者すべての「恐怖」を映す。
「名を問うな」と影が言った。
だが、チキンマンがぼそりと呟く。
「……あれは“タモコロ”」
カイヤメが絶句した。
「都市伝説よ…!記憶を喰う存在……」
精進が前に出ようとするが、影の視線が刺さった瞬間、彼の足元の床が溶け始めた。
「ひっ……チキンマン!なんか言って!」
だがチキンマンはゆっくり歩き出した。
奈々様が刀を構えたが、タモコロの笑いが空気を震わせた。
「お前が来るまで、ずっと待っていたぞ。チキンマン……“選ばれし破片”よ」
チキンマンの眉間に、新たな目玉焼きマークが浮かび上がった。
2025/04/17(木) 17:28:29 Od8OZliBF3[iPhone]
第50話「記憶と目玉焼き」
チキンマンの眉間に浮かぶ目玉焼き模様は、淡く発光していた。
タモコロはそれを見て歓喜の声をあげた。
「その印…貴様が“破片”そのものか……!」
奈々様が刀を振るい、タモコロの肩口をかすめる。
しかし傷はすぐに元通りに閉じた。
「無意味だ、我を斬るには“記憶の鍵”が要る」
べっちーがスケボーで突っ込むも、跳ね返され、壁にめり込む。
キスイは「今のうちにカレーでも食べるか」と言って自販機に走る。
その間に、カイヤメ博士がひとつのカプセルを差し出した。
「チキンマン、これを……君の“失われた記憶”だ」
チキンマンがカプセルに触れた瞬間、世界が反転し、空が青から赤へと変わった。
全員の頭上に、“第零章 起動”という文字が浮かぶ。
タモコロがにやりと笑った。
「さぁ、記憶の扉を開けるがいい。“目玉焼きの神”よ」
死まで、あと50日。
2025/04/17(木) 17:43:01 Od8OZliBF3[iPhone]
【チキンマン 51日目】
朝、チキンマンが目を覚ますと、自分の部屋の天井一面に「がんばれ!」と書かれた紙が無数に貼られていた。
「…誰やねん」
そっと襖を開けると、べっちーが静かに味噌汁を飲んでいた。
「昨日、勝手に合鍵作った」
「犯罪やん」
「でも君は今日、世界を救うんだろ?」
「…寝るわ」
布団に戻ろうとした瞬間、玄関がバン!と開いてキスイが飛び込んできた。
「チキンマン!!空が爆発するらしい!!」
「何でそんな元気に言える!?」
チャッピーもやってきて、謎のボタンを渡してきた。
「これ、押したら全て解決するらしいで」
「誰からもらったん?」
「おなりかずきや」
もう、何が何だかわからない。
死まであと51日。
2025/04/23(水) 12:33:52 mOG7nRQKb6[iPhone]
終わらせいよ
2025/04/23(水) 12:35:05 JQLIrbBJHK[iPhone]
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