2025/04/21(月) 10:45:54 PTN6IdAWHb [iPhone]
冬の朝、かにはパン屋の前で財布をひっくり返している少女を見つけた。
「あと10円足りない…」と呟く声に、かには無言でポケットから10円を差し出した。少女が驚いて顔を上げると、かには「パンが泣いてるっすよ、“食べてくれ”って」と軽く笑った。
少女はパンを受け取り、深々と頭を下げて走り去っていった。
その日の夕方、かにが同じパン屋に立ち寄ると、店員が紙袋を手渡してきた。
「あの子から。お礼だって」。
中には焼きたてのクリームパンと、小さなメモ。「ありがとう、見ず知らずのお兄さんへ」。
かにはパンを頬張りながら、「…クリームパンって、こんな美味かったっけ」と呟いた。
口の中に甘さが広がった。