キスイは黒板に「14＋3＝17」と書き、その下に「この時の17＝6」と静かに書き加えた。

「これは”内包数論”の話だ。」

チャッピーが眉をひそめる。「足し算はわかるけど、なんで17が6なのさ？」

キスイは頷きながら答える。

「14と3は数じゃなく”要素群”。合計で17だが、これは見かけ上の総量にすぎない。本質は、17という状態に含まれる本質的要素数が6なのだ。」

「要素数…？」

「14の中には重複する”概念単位”があり、3の中にもある。すべてを”意味的最小単位”に還元すると、実質6種類の情報しか存在しない。つまり17という総量は構造的には6と同一なんだ。」

かにがぼそっと呟く。「……まさかの情報圧縮理論……」

キスイは黒板を指差す。「これが数の背後にある“骨格”だ。」

誰も理解できなかった。